Journal of Mammalian Ova Research
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原著
マウス円形精子細胞卵子内注入法(Round spermatid injection;ROSI)における卵子活性化処理と胚の細胞遺伝学的正常性の検討
靏巻 千秋三井 秋徳松本 浩道福井 えみ子吉澤 緑
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2009 年 26 巻 2 号 p. 86-93

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抄録

正常核型の(BALB/c×C57BL/6J)F1雌と転座染色体をホモに有するRFM/Ms-Rb(6.15)系統の雄を用いて,円形精子細胞卵子内注入(Round spermatid injection;ROSI)においてストロンチウムによる卵子活性化条件を検討し,さらに胚の細胞遺伝学的正常性を明らかにした.ROSI 前に40分間活性化させた群:A区,ROSI後に1時間活性化させた群:B区,ROSI後に5時間活性化させた群:C区の正常受精率および発生率の比較で,最適な活性化条件はA区であった.ROSI胚の第1卵割期の染色体分析結果ではA区の正常受精率が最も高かった.異常受精としては,3群とも雄由来の異常が主にみられた.また,胚盤胞期の染色体分析で正常な2倍体胚の割合が最も高かったのはA区であった.ROSI胚においては,雄由来の染色体異常や雌性ゲノムのみに由来する単為発生胚(n,2n,2n/n)が高い割合で観察され,単為発生が生じやすいことが初めて明らかにされた.なお,A区の手技で作出した胚盤胞を雌マウスに移植し,正常産子を得た.

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© 2009 日本卵子学会
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