Journal of Mammalian Ova Research
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特集:卵子・精子を創る
体内および体外における始原生殖細胞の初期発生
林 克彦
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2009 年 26 巻 4 号 p. 171-177

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抄録

全ての生殖細胞の起源である始原生殖細胞(Primordial Germ Cells;PGCs)は発生の比較的早い時期に胚中の多能性細胞集団から分化する.これまでにマウスを用いた研究において,PGCsの初期分化に必要なシグナルや初期のPGCsで起こる現象が次々と明らかになっている.それらは何れも発生能を有する受精卵を産生するために重要であると考えられている.一方,体外培養においてES細胞などの胚性幹細胞からPGCsを誘導することが試みられているが,体外で産生されたPGCsが体内で起こる初期分化の過程を経ているか否かの検討は十分でない.質的に高いPGCsを多数作製することは,それ以降の体外培養での生殖細胞分化のために十分な母集団を得るという意味で極めて重要である.本稿ではまずマウスで得られている知見を基に,初期のPGCsの発生様式を概説し,胚性幹細胞からの体外培養におけるPGCs産生を,特にその初期分化に着目して,筆者らの最近の結果を含めて紹介する.

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© 2009 日本卵子学会
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