2011 年 28 巻 4 号 p. 180-189
2011年3月11日地震・津波・原子力発電事故という未曾有の大きな3つの災害に遭遇した.対策は過去に経験した災害とそれ以上の予測される事態を想定し立案することが肝要と痛感した.生殖補助医療施設で起こりうる事象の列挙・対策・マニュアル作成・実践的な定期訓練実施,その都度の気づきや経験を盛り込み改善する.患者やスタッフの安全確保,新鮮および凍結保存した胚・卵子・精子の安全管理ならびに複製記録分散保管,患者のプライバシー保護,他施設への搬送,災害時の説明・同意書作成など可能な限り実施すべきである.災害発生時に各自が瞬時になすべきことを理解・実施し,臨機応変に対応する.災害時に不可欠な水,食料,懐中電灯,ラジオ,電池,燃料など最低限必要な物品の準備(クリニック・自宅)や交通が遮断された時の帰宅手段,避難場所の周知,災害で困難な中での種々の連絡手段(患者・スタッフ・家族)の構築を考慮すべきである.
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