抄録
PCR法を用いて, 体外受精一体外培養した着床前豚胚の性判別を行なった. PCRに用いたプライマーは哺乳動物のSRY保存領域を基に作成した. 使用したセンスプライマーは5'-GTCAAGOGACCCATGAACGC-3'(20mer) で, アンチセンスプライマーは5'-CTGTGCCTCCTGGAAGAATGGC-3'(22mer) であった. 雄特異的DNAバンドは165bpで検出された.体外受精卵の33%において'雄特異的DNAバンドが検出された. 16-細胞期から胚盤胞期の胚を検体とした時, 供試胚の46.6%において雄サンプルで得られたものと同様なバンドが得られた. 得られたDNA断片をダイレクトシークエンス法により塩基配列決定を行った結果, ウサギ及びマウスSRY保存領域とは約75%, ヒトSRY保存領域とは85%以上の相同性があることが確認された.