哺乳動物卵子学会誌
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2-5mmの細胞から採取した卵胞液及びその画分がウシ卯胞卵子の成熟, 受精及び発生に及ぼす影響
Abdalla ELMILEIK前田 照夫寺田 隆登
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1994 年 11 巻 2 号 p. 189-195

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抄録
2-5mmの牛卵胞から採取した卵胞液あるいはその画分を添加した培地で成熟させた牛卵胞卵子の成熟受精及びその後の胚の発生率に及ぼす影響について検討した. 基本培地 (TCM199+発情牛血清+LH+FSH) に卵胞液を30%添加した区の成熟率及び分割率 (使用卵胞卵子の内, 2細胞期以降へ発達した胚の割合) は, 無添加区 (対照区) より有意に高く, 卵胞液60%添加区の受精率及び分割率も対照区に比較して有意に高い値を示した. また, 卵胞液の高分子画分30%添加区, 低分子画分 (10KD未満) 30%添加区及び低分子画分60%添加区では受精率, 成熟率及び分割率において有意な増加は認められなかった. また, 高分子画分60%添加区の分割指数 (2細胞期胚の内, それ以降へ発達した胚の割合) は卵胞液60%添加区より有意に低かった. 以上の結果から, 2-5mmの牛卵胞から採取した卵胞液の成熟培地への添加は, 卵胞卵子の成熟, 受精及びその後の胚の発生に有効であるが, その効果は分画により低下することが示唆された.
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© 日本哺乳動物卵子学会
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