抄録
ウシ体外成熟卵子の受精に, ヒト精子調整溶媒として市販されているGPMを用い, 卵割, 胚発生に対する影響を検討した. 5mMカフェインと10μg/mlヘパリンを添加したGPMまたは修正BO液を用いた場合, 媒精60時間後の卵割率および媒精10日後までに発生した胚盤胞の割合には, 両者に差はなかった. また, 同様にGPMを用いて黒毛和種の個体毎についても検討したところ, 1頭当たり平均7.0個の胚盤胞が得られた. 胚盤胞を凍結融解後移植を行い, 正常な子牛が得られた. これらのことから, GPMはウシ体外受精の受精用培地に使用できると考えられた.