抄録
体外受精由来胚をethylene glycolを耐凍剤として凍結保存し, 融解後体外で耐凍剤を除去する際の環境温度及び融解後の経過時間が生存性に与える影響について検討した. その結果, 融解5分後に胚をCS-PBSに直接浸漬して耐凍剤除去を行う場合, 室温下で行ったA区 (39.2%: 20/51) よりもCS-PBSを加温して行ったB区 (53.5%: 23/43) の生存率が高かった (P<0.10). しかし, 融解40分後に加温CS-PBSに胚を浸漬して耐凍剤を除去したC区 (24.4%: 10/41) の生存率は, B区よりも有意に低かった (P<0.05). 以上のことから, ethylene glycolを耐凍剤として凍結された体外受精胚をCS-PBSに直接浸漬して耐凍剤を除去する場合, その環境温度に留意する必要があるとともに, 融解後耐凍剤除去あるいは移植までの経過時間が長くなることで生存性が損なわれる可能性が示唆された.