経営哲学
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Print ISSN : 1884-3476
研究ノート
アイデンティティ・ワークを通じた理念浸透と改定のメカニズム ― パターン・ランゲージによる分析 ―
鷲谷 佳宣
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2025 年 22 巻 1 号 p. 32-41

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抄録

近年、多くの企業が理念浸透と同時に理念改定を実施している。しかし、従来研究では理念浸透過程の検討が中心で、アイデンティティ拡張を含む理念改定プロセス、特に既存価値観を維持しつつ新たな価値観を統合するプロセスの解明が不足している。本研究は、アイデンティティ・ワーク(IW)理論の観点から、この拡張と改定のプロセスを分析することを目的とした。インタビュー調査、文書分析、参与観察を組み合わせた質的単一事例研究とパターン・ランゲージ法で分析した結果、2つの重要な発見が得られた。第1に、IW活動は組織アイデンティティとの融合、個人アイデンティティの拡張、組織アイデンティティの拡張という3つの活動が、組織アイデンティティの原点を基盤に段階的・循環的に展開されていた。第2に、個人アイデンティティの拡張には、組織アイデンティティとの融合を起点とする経路と、自律的な個人の価値観形成による経路という2つの経路が存在していた。本研究の知見は、理念浸透と改定における受動的浸透と能動的浸透の相互作用に新たな理解を提供するものである。

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