経営哲学
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Print ISSN : 1884-3476
特集 新しい協働の経営哲学
インターネット社会からインターウィーヴィングコミュニティへ ― M.P. Follett『創造的経験』から新たな協働の経営哲学の展開 ―
三井 泉
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2026 年 22 巻 2 号 p. 51-62

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抄録

本項の目的は、「新たな協働の経営哲学」について検討することにある。考察を始める前に、筆者が経営哲学に対する捉え方と、現代社会の根底にある問いについて示しておく。筆者は、経営哲学を「経営の存在論」「経営の認識論」「経営の実践論」という側面から捉える。また、今世紀の社会の根底に横たわる共通の問いを、①近代を支えた価値―「合理性」「経済性」「民主主義」―をめぐる問い、②「科学技術をと人間」をめぐる問い、③「人と自然」「人と社会」「人と文化」「人と人」の「関係性」とその「分断」をめぐる問いとして捉える。本論文のテーマ「協働」現象の根底には、上記の中で「人と人の関係性とその分断」という大きな問題がある。この問題を考える上で、本稿ではM. P. Follettの思想を手掛かりとする。なぜなら、彼女の生きた20世紀初めの30年間の出来事は、現在われわれが直面している問題と酷似しているからである。

我が国の企業の協働は、高度成長を牽引した「日本型経営」の下では、共通の経営理念や組織風土の下、均質の人間関係を背景として営まれた。この時期の日本の協働は、企業の中に囲い込まれていた。しかし1990年代のバブル崩壊や2019年からのコロナ禍を過ぎ、日本型の長期雇用も変容し、ネットワークを活用した在宅勤務も普通のこととなった。こうして、我が国の協働の場は、家や社会へと拡散した。こうして、企業の人間関係の分断も始まった。

このような状況における新たな協働哲学を考えるために、本稿ではフォレットの「経験の交織(interweaving)」を取り上げる。これは、個人と個人、個人と組織が、「経験」を通じてつながるコミュニティの姿であり、新たな創造性を創発する可能性を秘めている。またインターネット社会の弊害を、このアイディアで乗り越えることも可能であると筆者は考える。

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