2026 年 22 巻 2 号 p. 63-73
本稿は、人事(HR)意思決定における人間の認知バイアスと限定合理性がもたらす課題を、AIとの「共進化」という動的プロセスを通じていかに克服するかを論じるものである。パラドックス理論を分析枠組みとして用い、AIを「客観的分析によるバイアス補正を行うモデレーター」および「情報処理能力を拡張するイネーブラー」と定義した上で、人間との協働による「ハイブリッド型意思決定」モデルを提示する。さらに、日本企業特有の「コンセンサス重視」や「失敗への不寛容」といった組織文化的制約がAI導入の障壁となっていることを指摘し、これらを二項対立ではなく「管理すべきパラドックス」と捉え、ダイナミック・ケイパビリティとして組織能力に埋め込むことの重要性を強調する。