徒手理学療法
Online ISSN : 2434-4087
Print ISSN : 1346-9223
総 説
運動系機能障害(MSI)診断システムの概念
諸谷 万衣子
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2022 年 22 巻 1 号 p. 29-35

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抄録

運動系は理学療法士のアイデンティティーを構成する大きな一領域である。運動機能障害を説明するモデルとして,病理運動学的モデルと運動病理学的モデルの2種類を提案されることがある。Movement System Impairment diagnostic system(運動系機能障害診断システム:MSI診断システム)は運動病理学的モデルを基盤としており,Sahrmannによって提唱されたものである。MSIでは,日常活動の反復運動や持続的アライメント(ライフスタイル)が運動機能障害をもたらし,いずれは筋骨格系の問題を引き起こすと考えている。本稿ではMSIの主要コンセプトである,過剰可動性の部位が痛みの局所である場合が多いこと,相対的柔軟性と相対的硬さの影響,診断がもたらす結果,系統的な検査の大切さ,活動に特異的な再練習の必要性などを説明する。また,MSIを学ぶ過程で度々みられる誤解についても紹介する。

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© 2022 日本徒手理学療法学会
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