徒手理学療法
Online ISSN : 2434-4087
Print ISSN : 1346-9223
症例研究
Movement System Impairment diagnostic systemを活用したプロの音楽家の肩関節痛の症例
諸谷 万衣子
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 22 巻 1 号 p. 37-43

詳細
抄録

本症例報告では,Movement System Impairment diagnostic system(運動系機能障害診断システム:MSI診断システム)における肩関節患者の診断・介入の一例を示す。患者は25歳女性プロのクラリネット奏者で,5週間前にジムでオーバーヘッドプレスの最中に右肩を下方に亜脱臼した。系統的な運動検査を通して,肩甲上腕関節が肩甲胸郭関節よりも相対的に柔軟で,後方よりも前方の肩甲上腕関節が相対的に柔軟であることから,MSI診断名は上方回旋不足を伴う肩甲骨内旋症候群および上腕骨前方すべり症候群とされた。肩関節の回旋や屈曲などの分離運動を正しい肩甲上腕リズムで行い,機能的活動の指導も正確な上腕骨頭と肩甲骨の運動やアライメントを指導しながら介入を行った。週1-2回,2ヵ月半の理学療法介入で,患者の症状は軽減し,1日5時間クラリネットの練習が症状なく行えた。ジムで上肢の筋力強化エクササイズを行うときも,肩の症状はなく肩が崩れる感覚もなくなった。

著者関連情報
© 2022 日本徒手理学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top