徒手理学療法
Online ISSN : 2434-4087
Print ISSN : 1346-9223
22 巻, 1 号
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巻頭言
研究論文
  • 石ヶ谷 侑紀, 吉川 和希, 半田 裕介, 千葉 弘樹, 三木 貴弘, 近藤 湧, 高﨑 博司
    2022 年 22 巻 1 号 p. 03-09
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/29
    ジャーナル フリー

    Patient Specific Functional Scale(PSFS)は機能障害に関する患者報告アウトカム尺度の一つで,反応性に優れており,様々な運動器障害に適応できる。PSFSでは対象となる活動や障害前の状態を想起することが難しい場合が多いため,回答者が回答しやすいように改善したPSFS 2.0が近年開発された。本研究の目的は,PSFS 2.0の日本語への異文化適応とした。国際的な質問紙票の異文化適応ガイドラインに則り,順翻訳,順翻訳統合版作成,逆翻訳,仮日本語版作成,パイロットテストの5段階を経て行った。パイロットテストでは,運動器疾患のある30名から,各文章に対して日本語として意味が伝わるかについて5段階数値評価スケール(1:日本語として全く意味が分からない,5:日本語として十分伝わる)で評価し,コメントを得た。コメントのあった項目もスコア4以上の者が8割以上であった。得られたコメントを元に,全翻訳者と筆者の計6名で議論し,最終的な日本語版PSFS 2.0が作成された。

症例研究
  • 鳥井 泰典, 泉 清徳
    2022 年 22 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/29
    ジャーナル フリー

    〔はじめに〕結帯動作制限を認めた症例に対するmobilization with movement(MWM)によるアプローチの即時的効果について報告する。〔症例紹介〕60歳代の女性。転落外傷により多発骨折を受傷。主訴は背部痛であり,結帯動作と肩甲上腕関節挙上時に疼痛を認めた。〔評価と治療〕肩甲上腕関節後下方組織の拘縮と結帯動作時の体幹および肩甲骨運動の逸脱した運動パターンを認め,肩甲上腕関節内旋のMWMを実施した。〔結果〕肩甲上腕関節の関節可動域と筋力には改善を認めなかったにもかかわらず,第5腰椎棘突起と母指指尖間距離(L5-TD)は5cmから19 cmとなり,顕著な即時的効果がみられた。〔結論〕胸椎レベルでの結帯動作を目標とする場合には,肩甲上腕関節内旋のMWMは有用な介入手段となる可能性がある。

総 説
  • ―この20年間の動向―
    藤縄 理
    2022 年 22 巻 1 号 p. 17-28
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/29
    ジャーナル フリー
  • 諸谷 万衣子
    2022 年 22 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/29
    ジャーナル フリー

    運動系は理学療法士のアイデンティティーを構成する大きな一領域である。運動機能障害を説明するモデルとして,病理運動学的モデルと運動病理学的モデルの2種類を提案されることがある。Movement System Impairment diagnostic system(運動系機能障害診断システム:MSI診断システム)は運動病理学的モデルを基盤としており,Sahrmannによって提唱されたものである。MSIでは,日常活動の反復運動や持続的アライメント(ライフスタイル)が運動機能障害をもたらし,いずれは筋骨格系の問題を引き起こすと考えている。本稿ではMSIの主要コンセプトである,過剰可動性の部位が痛みの局所である場合が多いこと,相対的柔軟性と相対的硬さの影響,診断がもたらす結果,系統的な検査の大切さ,活動に特異的な再練習の必要性などを説明する。また,MSIを学ぶ過程で度々みられる誤解についても紹介する。

症例研究
  • 諸谷 万衣子
    2022 年 22 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/29
    ジャーナル フリー

    本症例報告では,Movement System Impairment diagnostic system(運動系機能障害診断システム:MSI診断システム)における肩関節患者の診断・介入の一例を示す。患者は25歳女性プロのクラリネット奏者で,5週間前にジムでオーバーヘッドプレスの最中に右肩を下方に亜脱臼した。系統的な運動検査を通して,肩甲上腕関節が肩甲胸郭関節よりも相対的に柔軟で,後方よりも前方の肩甲上腕関節が相対的に柔軟であることから,MSI診断名は上方回旋不足を伴う肩甲骨内旋症候群および上腕骨前方すべり症候群とされた。肩関節の回旋や屈曲などの分離運動を正しい肩甲上腕リズムで行い,機能的活動の指導も正確な上腕骨頭と肩甲骨の運動やアライメントを指導しながら介入を行った。週1-2回,2ヵ月半の理学療法介入で,患者の症状は軽減し,1日5時間クラリネットの練習が症状なく行えた。ジムで上肢の筋力強化エクササイズを行うときも,肩の症状はなく肩が崩れる感覚もなくなった。

  • 諸谷 万衣子
    2022 年 22 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/29
    ジャーナル フリー

    本症例報告では,Movement System Impairment diagnostic system(運動系機能障害診断システム:MSI診断システム)における肩関節患者の診断・介入の一例を示す。患者は25歳女性プロのクラリネット奏者で,5週間前にジムでオーバーヘッドプレスの最中に右肩本症例報告では,Movement System Impairment diagnostic system(運動系機能障害診断システム:MSI診断システム)における腰痛患者の診断・介入の一例を示す。患者は69歳の女性で,2ヵ月前に脚立から転倒しL1圧迫骨折のため腰痛を患っていた。系統的な運動検査を通して,運動初期のタイミングで起こる過剰な腰椎伸展・回旋動作が腰痛を悪化する原因で,MSI診断名は腰椎伸展・回旋症候群とされた。訪問治療とテレヘルスの治療を合わせて,腰椎伸展・回旋を防いだ基礎的なエクササイズおよび機能的動作の指導による介入を行った。週1–2回,5ヵ月間の理学療法介入で,患者の症状は大幅に軽減し,圧迫骨折受傷以前の活動レベルに復帰できた。初診では立位保持時間は10~15分であったが,買い物や園芸や趣味のテーブルセッティングも症状を悪化せず行えるまで改善した。

総 説
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