抄録
中国では、石炭燃焼を起因とするSO2による健康被害や酸性雨などの地域的な大気汚染が問題となっている。本論文は、市レベルのローカルな問題を解決するための最適な環境政策を探る統合シミュレーションモデルの開発を目的としている。モデルは、工学分野において研究•開発されている安価かつ安定的な脱硫アクティビティを中国経済モデルに組み込み、SO2による健康被害推計とSO2拡散シミュレーションのサブモデルを連結したものである。また、脱硫アクティビティから生じる副産物を土壌改良に利用することの費用•便益を評価するサブモデルも統合している。ここでは、この統合モデルを使い、天津市と瀋陽市における脱硫アクティビティが健康•食糧生産•経済などに及ぼす相互作用について試算した。