MACRO REVIEW
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特別寄稿
イスラムマネーの奔流・日本に押し寄せる1000兆円の津波
北村 陽慈郎
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2013 年 25 巻 1 号 p. 11-19

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抄録

巨額のオイルマネーの運用先を求めているMENA(中東北アフリカ)地域の産油国諸国にとって,自国の砂漠に無尽蔵にある砂を原料として,太陽光発電パネルの製造に必要な高純度結晶シリコンを製造する工場と,そのシリコンから太陽光パネルを製造する工場を作り,自己増殖的に太陽光発電事業を行うSSB計画は,まさに理想的な組み合わせである.  SSB計画には少なからぬアラブ諸国の政府高官やSWF(政府系ファンド)が期待を寄せており,一日も早い計画の実現が求められている.SSB計画はイスラム圏の産油国諸国にとってのみ理想的なのではなく,日本にとってもドル安に起因する産業の空洞化,そして予見される日本の国家経済破綻をも回避できる可能性を持った極めて重要なプロジェクトである.  しかし,エネルギーのパラダイムシフトについて考える時,国際決済通貨やエネルギー・水資源・食糧の安全保証などは避けて通れない問題である.また,SSB計画のようなマクロ・エンジニアリング・プロジェクトでは,多分野にわたる科学者や専門家のみならず,産官や市民社会とのコンセンサスの形成も重要な課題となる.  本研究論文ではSSB計画の実現に向けて,コンセンサスの形成と,日本円を基軸通貨としたシリコン・太陽光エネルギー本位性経済の確立と,シリコン政治経済学の創生の必要性について述べる.

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