2020 年 32 巻 2 号 p. 74-79
環境にやさしい農業として,有機農業が注目されている。有機農業では,化成肥料や農薬を使わず,家畜ふん尿堆肥や有機質肥料を施用しているが,これらは土壌中で分解されて硝酸イオンになり,作物が吸収しなかった分の多くは地下へと溶脱する。硝酸態窒素は,水環境における富栄養化の原因物質であり,飲料水中では乳幼児のメトヘモグロビン血症のリスクもある。本研究では,有機農業が盛んな宮崎県綾町錦原台地の周辺における環境水を10カ所選定して2週間に1度採水し,その硝酸態窒素濃度を測定した。その結果,10カ所の内1ヵ所のみ,特に4月頃からは10 mg/Lを超える濃度で安定していた。しかし,現在のところ綾町錦原台地周辺の水環境については,湧水の飲用に関して注意しておけば十分と考えられる。