抄録
河川計画において、流送土砂の挙動は大きな課題である。とくに、河川を横断して設けられる取水堰、分水堰、ダム等の施設は、施設の上流側の土砂堆積、下流側の河床低下の問題が常につきまとう。場合によっては、その影響は海岸侵食にまで及ぶ。今回の研究旅行は、このような流送土砂対策を考える絶好の機会を与えてくれた。都江堰は、自然の営みに抗しない巧みな計画がその対策となっている。一方、三峡ダムは、今日の高度な予測技術を拠りどころとして、ダム操作にその対策を託している。流送土砂に対するこの2つの際だった対処の仕方に、自然を対象とする土木技術のあり方を考える貴重なヒントがあるように思う。