MACRO REVIEW
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11 巻, 1 号
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  • 大矢 雅彦
    1998 年 11 巻 1 号 p. 3-5_2
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/06/17
    ジャーナル フリー
    四川盆地は断層盆地であり、そこに長江上流の岷江などが砂礫を堆積して、扇状地を形成した。この扇状地は円礫と黒色土壌から成り、これは融雪洪水地帯の特色である。この扇頂部に約2,300年前、都江堰が造られ、それまで頻発していた洪水を軽減させると共に、潅漑が拡充された。その後、この堰は度々改修されたが、基本的構造、理念は当時のまま変わらず、今日に到っている。岷江は、この堰で外江(自然河川)と内江(潅漑水路)に分けられる。内江は玉塁山を切った宝瓶口を経て四川盆地へ流れるが、洪水時には外江に60%、内江に40%、渇水時には逆に外江へ40%、内江へ60%ながれるようになっている。 武漢から宣昌に至る江漢平野は、山麓に岩石扇状地が発達し、砂礫層の堆積は薄く、日本の一般的な堆積平野とは異なる、侵食平野である。
  • 佐藤 照子
    1998 年 11 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    都江堰は長江支流・岷江の奔流にある大型多目的水利施設で、四川省の首都成都の北西600kmに位置する。その建設は春秋戦国時代にさかのぼる。現在まで二千二、三百年という長い歳月、施設を放棄せざるを得ないような河川の状態を引き起こさず、その機能を維持してきたばかりか、今日は一層発展して中国でも有数な水利潅漑網を形成している。本報告では、都江堰が長期間、その機能を維持し、存在し続けられた主要な要因について水文・地形環境の視点から述べられている。 第一の要因は、岷江の水量の豊かさにある。岷江流域はモンスーンの影響を受け、潅漑期には河川に十分な水量があるとともに、年平均比流量は2.18(m3/sec・100km2)と大きく、集水面積も23,000km2と広いので総流出量も多く、時代の要請に応じて潅漑区を拡大することが出来た。 第二の要因は、冬に岷江の渇水比流量が0.5(m3/sec・100km2)と小さくなり、施設の存続に不可欠な維持管理作業を容易にしていたことである。 第三の要因は、都江堰が扇状地の河川特性や地形の特徴を巧みに利用し、自然の土砂と水の循環を活かす構造をしていることである。このため、都江堰の建設が著しく河相を変化させ、取水困難な状況を引き起こすことはなかった。また、自然の力を利用した巧みな土砂管理は、施設の維持管理を容易にしていた。 第四の要因は、李冰の遺訓を守り、川底の浚渫や分水工・護岸等の修復を営々と行い、大切な施設を守り続けてきた人々の努力の存在である。この補修工事を支えた主要な要因の一つが、現場で入手できる材料で、十分な強度を持つように工夫、洗練された土木工法であった。
  • 長江研究旅行に参加して
    斎藤 正勝
    1998 年 11 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    河川計画において、流送土砂の挙動は大きな課題である。とくに、河川を横断して設けられる取水堰、分水堰、ダム等の施設は、施設の上流側の土砂堆積、下流側の河床低下の問題が常につきまとう。場合によっては、その影響は海岸侵食にまで及ぶ。今回の研究旅行は、このような流送土砂対策を考える絶好の機会を与えてくれた。都江堰は、自然の営みに抗しない巧みな計画がその対策となっている。一方、三峡ダムは、今日の高度な予測技術を拠りどころとして、ダム操作にその対策を託している。流送土砂に対するこの2つの際だった対処の仕方に、自然を対象とする土木技術のあり方を考える貴重なヒントがあるように思う。
  • 玉山 昌顕
    1998 年 11 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    1984年11月に四川省成都で国家科学技術委員会が三峡工程科研工作会議を開催し、三峡プロジェクト推進の重要な前提条件となる「三峡工程対生態と環境的影響及びその対策研究」を発足させた。1992年に8冊シリーズの「三峡工程小叢書」が水利電力出版社より出版された。本論文が報告する「長江三峡工程生態と環境問答」は、長江の本流が締め切られ第一期工事の完成直前に出版された。編集委員会は、環境問題全体を4層構造に分けている。第1層は、全体像であり影響評価の環境総体と称している。第2層は、大分類であり公衆の関心事問題、社会環境、自然環境の3分類である。公衆の関心事問題には、6項目が含まれ、社会環境には、8項目が含まれる。最後の自然環境には、最多の10項目が含まれる。すなわち、長江河口の生態環境、中流平原地帯湖水群の冠水と水面下の生態変化、ダム湖の堆積とダム下流河道主流に於ける堆積、水生生物、陸生生物、陸生植物と植被、環境地質、水温、水質、局地気候である。第4層の環境因子は、69因子に分解している。
  • 白石 克人
    1998 年 11 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
  • 許斐 義信
    1998 年 11 巻 1 号 p. 51-59
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
  • 経過と課題
    秋吉 祐子
    1998 年 11 巻 1 号 p. 61-69
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    本稿は、本誌Vol.9,No.1(1996)に掲載された「三峡ダム建設にともなう住民移転問題」の続編に相当する論文であり、主に1996,97年の住民移転の状況と問題点について検討するものである。 移住は農業を主とする「開発移住」方式であり、地域闢発の中で進めるという新方式である。開発移住にはモデルが幾つかあるが、著しく経済成長したモデルケースもある。問題点は、中央と地方双方の行政厠と住民側にあるが、行政側の問題点の方が重大である。現状から展望するならば、根本的には移住資金が確保されるか否かが移住の成否を左右する要因であろう。
  • 新田 義孝
    1998 年 11 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    瀋陽市よりバイオブリケット原料の対象となりうる3種類の石炭を入手し、分析したところ発熱量は4500、5860、6000kcal/kgであった。また、ストーカー炉から排出された石炭灰を分析したところ、未燃羨素分は12.4%であった。 これらの情報をもとに低品位炭(4500kal/kg)を用いてバイオブリケットを製造してストーカー炉に用いた場合と、高品位炭(6000kacl/kg)をストーカー炉で燃號し、湿式脱硫装置を設置した場合のコストを推算して比較した。 バイオブリケットにすると燃焼効率が上昇すると期待されているものの、石炭の燃焼度が低いこと(未燃炭素分が多いこと)を改善するだけでは不十分であることが判った。バイオブリケットの形状等からボイラーの熱効率が30%程度以上高くなるとバイオブリケットが経済的に有利になる。 バイオブリケットの灰はアルカリ土壌改良に効用が期待され、またバイオブリケットを用いてスターリングエンジンを作動させ、コジェネレーションを行うと、発電と給湯から食品加工などを行う等に付加価値を見い出せる可能性があることも併せて示した。
  • ダウンサイジングザワールド
    栄 博士
    1998 年 11 巻 1 号 p. 79-87
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    近年、地球環境問題として、食糧、エネルギー、生産資源の枯渇や、熱汚染を含めた廃棄物の汚染が人類の存続を脅かしつつあることがクローズアップされている。なかでも人類の生存に直接かかわり、かつ最も早い時期に顕著になってくるであろう食糧危機につき、穀物の需給の観点から、その時期、場所、状況を予測する。 そして、その対策のための途上地域における新しい人口抑制策として、貧困層へ、生産手段を手に入れるためのひとりあたり数ドルという少額融資をおこなうことにより、地域住民にたいして直接、少出産を要請することを提唱する。さらに資源やエネルギー、食糧を人ロー人当りでは発展途上国の数倍から数十倍消費し、廃棄物を大量にうみだす先進地域もまた、みずからの世界に対してダウンサイジングを行うべきである。
  • 木下 輝雄
    1998 年 11 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
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