MACRO REVIEW
Online ISSN : 1884-2496
Print ISSN : 0915-0560
ISSN-L : 0915-0560
自然地理の立場から見た長江上・中流の旅
大矢 雅彦
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 11 巻 1 号 p. 3-5_2

詳細
抄録
四川盆地は断層盆地であり、そこに長江上流の岷江などが砂礫を堆積して、扇状地を形成した。この扇状地は円礫と黒色土壌から成り、これは融雪洪水地帯の特色である。この扇頂部に約2,300年前、都江堰が造られ、それまで頻発していた洪水を軽減させると共に、潅漑が拡充された。その後、この堰は度々改修されたが、基本的構造、理念は当時のまま変わらず、今日に到っている。岷江は、この堰で外江(自然河川)と内江(潅漑水路)に分けられる。内江は玉塁山を切った宝瓶口を経て四川盆地へ流れるが、洪水時には外江に60%、内江に40%、渇水時には逆に外江へ40%、内江へ60%ながれるようになっている。 武漢から宣昌に至る江漢平野は、山麓に岩石扇状地が発達し、砂礫層の堆積は薄く、日本の一般的な堆積平野とは異なる、侵食平野である。
著者関連情報
© 日本マクロエンジニアリング学会
次の記事
feedback
Top