MACRO REVIEW
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技術の構造と日本技術の特徴
谷本 光生
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1989 年 2 巻 1 号 p. 43-51

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抄録

技術に対する一般的評価は低く,何か枝葉末節を論じているというようなことが一般的風評のようです。とくに,技術に携わったことのない人には,この傾向が強いように見えます。私にはそのようには思えません。「技術」は,人間の存在そのものと深く関係しているような気がしてなりません。「技術」とは別の範疇に属していると考えられている「思考様式」「行動様式」なども,「技術」と密接な関係を持っているような気が私にはします。 人間が外向きに働きかける方法には,(1)肉体を使った行動,(2)言葉による働きかけ,の二面があり,それらは,表情や身振り・手振りなどのように言葉と同時に用いられることが普通です。 「技術」は,人間の外延的働きかけのなかで,最も具体的かつ重要な働きかけであり,そのための手段・方法でもある。その結果として人間は「技術」から多大な成果と便役を受けています。とするならば,「技術」の中心にも,同様に(1)肉体的行動,(2)言語的働きかけ,の二面的なものがあり,それらと深く関係を持っていると考えるのが的を得た考えであろうと思っております。 日本と欧米・中国との間にある"言語構造の違い","工具の使い方の違い"に着目して,両者の技術の構造の差異と,日本文化の特徴といわれている諸風評について,相関関係を論じてみたものが本稿と次稿「日本の技術の特徴」です。

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© 日本マクロエンジニアリング学会
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