MACRO REVIEW
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21世紀"海上の道"
木下 輝雄
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1995 年 8 巻 1 号 p. 25-33

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抄録

「21世紀"海上の道"」は、水資源の豊富な屋久島から大量の水を水道原水として、太平洋側の臨海諸都市(東京、大阪等)に供給するための黒潮を利用する輸送システム構想(輸送量:30万m3/日、1億m3/年)である。海洋開発の一形態でもあり、輸送手段として船舶を主体とせず、フレキシブル(伸縮性)な円筒型タンク(直径=50~60m,深さ=50~55m,容量=10~15万m3)を装備するバージ(艀)に屋久島で水を満載し、黒潮本流に約30m沈め海流に任せる。10日程潜水漂流してバージは、伊豆諸島付近に到達しそこで浮上し、水は水タンカーに積み替えられる。水タンカーは東京へ、空になったタンクバージは運搬用バージに海中で収容される。この運搬バージはタグボートにより水源地、屋久島まで曳航回航され、積まれていたタンクバージは水中で降ろされ海面に浮かび、再び水を積まれることになる。 環境との調和も図りつつこのように形成される水輸送システムの効果は、臨海都市の水道事情の改善(渇水・災害時対策、水質改善)、インフラストラクチャとしての水大量輸送/貯蔵の技術の確立である。なお黒潮の実体の詳細把握、取水・導水・配水等の技術、潜水漂流するバージの制御技術、水タンクの製作技術などの解明、確立があり、また社会的な視点からの多面的な検討も残されいる。

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© 日本マクロエンジニアリング学会
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