2020 年 98 巻 5 号 p. 987-1004
下層雲場が同じ構造を持つ複数の雲セルで構成されているという仮定をもとに、下層雲被覆率に関する新しいエネルギー平衡モデルを構築した。広大な計算領域で実行した高解像度数値シミュレーションの結果を用いて、エネルギー収支解析を行った。その結果、計算された下層雲場は、海面から供給されるエネルギーフラックスと放射フラックスおよび一様流による移流が近似的に平衡状態にあることが示された。次に計算結果から抽出した雲セルを解析したところ、各セルの構造が類似していることが分かった。この点を基に、エネルギー保存式から雲被覆率を診断するシンプルなモデルを構築した。構築したモデルを用いて計算結果の雲被覆率を診断したところ、シミュレーション結果から直接計算した値に近い結果が得られた。