抄録
横方向の風向変動の測定を,米国バージニア州スターリングにある気象局の観測試験開発センターで行なった.4組の軽量風速計および風向計が観測塔の地上2,4,8および16mの所に取付けられた.この観測中に9組の資料が取られ,これらが解析された.
結果は次のようである.(1)標準偏差は概して安定度および高度とともに減少する.なお中立状態の時の値は約12degである.(2)無次元型の分散スペクトルは,安定度の広い範囲にわたるスペクトルを統一的に表現する.その特徴は,周波数の高い方(例えば0.2ƒz/U以上;ƒ=周波数,z=高さ,U=zでの平均風速)で近似的に"-5/3乗"法則で表わされるが,周波数の低い方では安定度に応じて分かれる.以上の結果に対して相似則の立場より若干の説明がなされている.
次に,"選択法"の見地から,Brier(1961)の用いたフィルターが資料に適用された.ただ1組の資料についてではあるが,数個の周波数に対する標準偏差,および違った高さの組み合わせに関する遅れのある場合とない場合の相関係数が計算され,暫定的な結果が得られている.その中には,遅れと高さおよび高度差との関係などがある.