気象集誌. 第2輯
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海陸風循環に及ぼす陸地斜面の影響
数値実験
浅井 冨雄光本 茂記
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1978 年 56 巻 6 号 p. 559-570

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抄録

平野部の背後にある斜面が海陸風循環に及ぼす地形効果について,地形を単純化した数値モデルを用いて調べ,次の結果が得られた。(1)斜面の表面温度が平野と同様に日周期で変化する時,海風や陸風は増幅され,海風と陸風の交替は平坦な陸地上の海陸風よりも早く起こる。(2)斜面が単に障壁として作用する場合には,海風,陸風共に減衰し,循環領域は海と平野部に限定される。(1)の場合の物理過程をより明らかにするために,非定常な斜面風に対する線型微分方程式の解を調べた。その結果,(1)の場合の海陸風は,平坦陸地での海陸風に比べて強くかつ位相の進んでいる斜面風によって変形されていことがわかった。
有効位置エネルギーの供給量とそれが運動エネルギーに変換される効率をそれぞれの場合について比べてみると,表面温度の変化する斜面のある場合に最大の供給量があり,しかも変換効率も最も高いことがわかった。

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