大気中の水蒸気場の年h変化を研究するために,北半球の五ケ年の比湿と風のデータを一ケ年毎に解析した。見出された主な点は:(1)大気中の年平均半球全可降水量は4%より多く変化しないこと;(2)緯度圏平均した東西輸送成分は比較的変動が少いが,緯度圏平均した南北輸送成分は,南向き流れの最大値が2倍くらい,北向き輸送の最大値が18%くらい変動すること;(3)ほとんど例外なく,年平均の東西および南北輸送成分地図における正および負の極大中心の位置は3緯経度より大きく変位しないが,中心の値の大きさは5ケ年の期間に大幅にかわること;(4)水蒸気量とその輸送量の変動度は,チベット高原,ロッキー山地,モンスーン活動および北太平洋高気圧の年々変位に影響されていることである。