気象集誌. 第2輯
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3.2cm波レーダによる非降水エコーの観測
武田 喬男村林 成
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1981 年 59 巻 6 号 p. 864-875

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抄録

波長3.2cmの垂直レーダおよびRHIレーダを用いて非降水エコーの観測を名古屋において行なった。大部分の非降水エコーは点状エコーであった。個々の点状エコーの後方散乱断面積の値ならびに受信信号の時間的変化の記録より,その反射体は昆虫と思われる。点状エコーの出現数の日変化を詳細に調べたところ,混合層の発達•衰退と緊密な関係がありうることが示唆された。また点状エコーの水平方向の移動の速さは,弱風時には,風速と必ずしもあまり良い一致を示さなかった。
また大気中の電波屈折率変動が原因と思われる非降水エコーが観測された。このエコーは内部重力波に伴った波状のエコーとして観測され,そのエコーの強度をCn2で評価すれば10-12cm-2/3程度になる。この値は安定成層中においても3.2cm波のレーダによって検知されうるほどの強い乱れが存在することの可能性を示唆している。

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