気象集誌. 第2輯
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熱帯季節内振動の簡単なモデル
宮原 三郎
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1987 年 65 巻 3 号 p. 341-351

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抄録

CISK に基づいた簡単な熱帯季節内振動のモデルを作り,時間積分を実行した。このモデルでは海水面温度(SST)分布に伴う対流活動度の変化を,CISK パラメータの変化としてモデルに取り入れる。インド洋から中部太平洋にかけての熱帯高 SST 域で対流活動が盛んであり,CISK に伴って大きな内部加熱が存在すると仮定した。
この領域に発生した不安定擾乱は時間と共に成長しながら東に進む。この擾乱は,鉛直方向にはバロクリニックな構造をしており,水平面内では,Gill のパターンを持ち,Kelvin と Rossby 型の結合体を成している。この擾乱が更に東に進んで低 SST 域に入ると,CISK が弱まるため散逸するとともに分散性によって,東進する自由波を生じる。この自由波は,更に東進して高 SST 域に達し次の新たな不安定擾乱となる。
熱帯季節内振動は,上記のような過程の繰り返しによる熱帯大気の脈動として理解され得ることが示された。

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