気象集誌. 第2輯
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北アメリカにおける夏期気温変動の主成分と先行する海洋•大気状態
Chung-Kyu ParkErnest C. Kung
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1988 年 66 巻 5 号 p. 677-690

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抄録

北アメリカの夏期気温変動の2つの主成分要素と先行する海洋•大気現象との関係を調べた所,両者の間に強い相関があり,夏の気温の予測に使えることがわかった。熱帯西部太平洋の熱源に伴う大規模循環と,中部北太平洋-アリューシャン域での海洋•大気総合作用が,北アメリカの地上気温を決めるのに重要な役割を果している。
相関係数の解析から,北太平洋の前の季節の水温と北アメリカの次の夏の気温との問に強い相関があることがわかった。北アメリカの夏の高温に先行して,北太平洋の水温は低く逆に,北アメリカの低温に先行して,水温が高くなっている。これらの結果を用いることによって,夏の気温の矛測が可能であろう。海面水温の前兆は,前年の秋に現れ,冬と春に最大となり,夏には弱くなる。夏の気温変動はエルニーニョとも関係しており,ENSO の影響は冬期に限らず夏期にも及んでいることを示している。

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