気象集誌. 第2輯
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筑波における混合層特性の日変化
蒲生 稔
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1988 年 66 巻 5 号 p. 691-701

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抄録

朝の高層観測で得られた温度の鉛直分布と,ルーチン観測による地上の気温と露点温度の時間変化から,簡単な混合層モデルを使って,混合層特性の時間変化とその年変化を求めた。正味放射量は日出後1-2時間後に負から正に変わる。この時間を混合層が発達を開始する時間と見なし,有効日出時刻とした。混合層は早朝はゆっくりと発達し,その後正午ころまで直線的に増大する月が多い。ボーエン比は5月に1となり,夏季には地表面潜熱輸送量が大きい。冬季の午前中は地表面潜熱輸送量が顕熱輸送量より多いが,正午近くで急激に減少する。対流の速度スケールW。は正午過ぎまで放物線状に増加する。
相対湿度が有効日出時刻に極大になるのに対して,比湿は有効口出時刻から1-2時間後に最大となる。比湿は最大値をとった後は混合層の発達に伴い,14-15時ころまで減少し続ける。7-9月では日中の比湿の減少割合は小さい。比湿の混合層内と,混合層に取り込まれると部安定層内の水蒸気の収支を考慮した簡単な方法により,有効日出時刻における比湿の鉛直分布も求めてみた。

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