気象集誌. 第2輯
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数値予報モデルのための不飽和裸地面からの蒸発量のパラメタリゼーション
戸矢 時義安田 延壽
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1988 年 66 巻 5 号 p. 729-739

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抄録

Deardorff (1977) は地表面温度の予報に良く使われている Force Restore Method (FRM) を地表薄層の土壌水分(体積含水率)に適用し,予報式を提案した。この手法を,筑波における関東ロームで精密に測定された裸地面からの蒸発量と地表薄層の土壌水分データに適用し,FRM 式中の無次元パラメータ C1,C2および Wb の性質を調べた。
C1は地表面土壌水分(Ws)の増加に従い,単調に減少し,Deardorff (1978)が Adelanto loamで解析したものと類似した関係を示した。C2は Ws とは特に関係しておらず,関東ロームでは2-4をとるのが適当であると考えられる。深層の土壌水分 Wb として,06時の地表薄層の土壌水分を採ると,FRMの取り扱いが簡略化される。
簡略化したFRMによるパラメタリゼーションを,地表面湿潤度の概念を用いたバルク法による蒸発のパラメタリゼーションと結合させ,裸地面からの蒸発量と地表面土壌水分の日変化をシミュレートした結果は,実測と良い一致を示した。

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