気象集誌. 第2輯
Online ISSN : 2186-9057
Print ISSN : 0026-1165
ISSN-L : 0026-1165
自由落下状態での雪結晶の気相成長
高橋 庸哉遠藤 辰雄若濱 五郎福田 矩彦
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 69 巻 1 号 p. 15-30

詳細
抄録

鉛直過冷却雲風洞中で水飽和条件下温度-3~-23°Cで成長時間30分までの実験を行ない、自由落下状態での雪結晶の気相成長特性を調べた。
得られた結果は以下のようである; 1)雪結晶の晶癖変化は角板(>-4.0°C)、角柱(-4.0°C~-8.1°C)、角板(-8.1°C~-22.4°C)、角柱(<-22.4°C)であった。-5.5、-12、-14.5、-16.5及び-18°C付近で行なった実験では結晶形は時間とともに変化した; 2)等方的結晶の質量増加は時間の1.5乗(マックスウェル型成長の値)に比例し、形状変化を伴う結晶ではこれより速かった。形状変化を伴う結晶には水蒸気がより効率的に昇華凝結することを示している; 3)-12、-14.5及び-16.5°Cで成長した形状変化を伴う板状結晶では通風効果が認められた。一方、-5.5°Cで成長した針状結晶の場合にはその効果は明確でなく、流れを規定しているのがa軸の大きさであるためと考えられる。通風効果はレイノルズ数が2(扇形)または5(樹枝)を超える頃から顕著になった; 4)抵抗係数とレイノルズ数の問には両対数表示で直線関係が見い出された。

著者関連情報
© 社団法人 日本気象学会
前の記事 次の記事
feedback
Top