気象集誌. 第2輯
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走査型分光放射計による仙台上空のエアロゾルの長期モニタリング
塩原 匡貴田中 正之早坂 忠裕中島 映至
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1991 年 69 巻 1 号 p. 57-70

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抄録

1981年9,月から1985年5月まで仙台市郊外において走査型分光放射計(オーリオールメータ)を用いた太陽直達光•散乱光の分光観測を行なった。観測された波長別光学的厚さと太陽周辺光の強度分布からインバージョン法によりエアロゾルの粒径分布(体積スペクトル)を求めた。
1982年に起こったエルチチョン火山の噴火前後の比較から、エルチチョン起源のエアロゾルの粒径分布を得た。その結果、エルチチョン•エアロゾルは約0.5μmにモード半径を持つ一一山分布型であり、エアロゾル気柱総量に対する影響は1983年の冬(1982年12月~1983年2月)に最大となり、それから1985年の春にかけて漸減し、ほぼ噴火以前の状態に回復している様子が見出された。
気柱総エアロゾルの体積スペクトルから、エルチチョン•エアロゾルをモデル化した体積スペクトルを差し引くことにより、仙台上空の対流圏エアロゾルの季節モデルを二山対数正規分布を用いて作成した。その結果、春季と夏季とでは、エアロゾルの体積スペクトルの特徴に大きな違いが見られた。すなわち、春季には半径約3μmの巨大粒子モードが卓越し、一方、夏季には半径約0.2μmのaccumulationモードが卓越している。

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© 社団法人 日本気象学会
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