抄録
本論分は、TOGA-COARE集中観測期間中の境界層の特徴に関する研究の第2部である。使用したデータは、東経156度の赤道で1992年11月11日から27日にかけて東大海洋研の白鳳丸で観測されたデータで、海面フラックスは3つの異なる係数を使用してバルク公式を用いて求められた。最初は、中立の時の抵抗係数と風速の間が、ほとんど線形である関係式が用いられ、その後、安定度の効果が入れられた。この様にして求められた運動量、顕熱、潜熱のフラックスは、それぞれ、0.0316N/m2、10.2W/m2、190.3W/m2であった。局所的な風はフラックスの強さに大きな影響を与え、4回の西風時には、貿易風の東風の時よりも、大きなフラックスであった。フラックスの大きさは、特に、弱風時には、安定度に大きく依存する。正味のフラックスは、海洋から大気と言うことであった。最後に、本研究による評価と他のバルク係数、および、渦相関法による評価と比較を行い、妥当であるとの結論になった。
本研究によっても貿易風の東風から西風に至るまでの風の場の強さの変動が混合層の構造と海面フラックスに大きな影響を与えることが明らかにされた。