気象集誌. 第2輯
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地表面モデルのオフライン検証
年タイムスケールでの成功評価について
Randal D. Koster沖 大幹Max J. Suarez
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1999 年 77 巻 1B 号 p. 257-263

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抄録
全球土壌水分プロジェクト(GSWP; Global Soil Wetness Project)で求められた地表面モデルによる年間流出率を、良く整備された盆地での観測流出率と全球に亘って比較した。このようなオフラインでのモデル出力の評価は大気強制力自体が持つ圧倒的な影響によって良くわからなくなってしまうため、M.I.Budykoにより示された旧来よりある気候学的な関係を用いて流出率の評価も行った。その関係とは、単に年間雨量と放射収支だけに依存する関係である。地表面モデル値とBudykoの関係から得られた評価値は共に、粗く言って100mm/yrの同じオーダーの標準誤差を持つことがわかった。すなわち、最新式の地表面モデル固有の複雑さは年間のエネルギー水収支の計算では精度を上げてはいないと言える。このように地表面モデルの固有の式構成は、月あるいは時間単位の短い時間スケールの現実的な地表面の振舞いを表わしており、また、Budykoによる式では短時間のスケール内でより多くのエラーが出ると考えられる。
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© 社団法人 日本気象学会
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