抄録
近年,我が国では自然災害が多発し,大規模な災害が起こった際に行政の対応能力に限界があることが周知のこととなった。そのため,自助や共助による災害への備えの必要性が認識され,住民や地域のソーシャル・キャピタルを活用して地域防災力を高めることが試みられている。本研究では,ソーシャル・キャピタルが地域防災力を高めるかを実証的に検証することを目的とする。熊本県益城町を対象に,ソーシャル・キャピタルと自然災害への備えに関するアンケート調査を行った。その結果,世帯および地域のソーシャル・キャピタルの充実が,世帯および地域の防災力の向上に繋がることが検証されたが,ソーシャル・キャピタルの高さがそのまま地域防災力に反映されるとは限らないことも分かった。