抄録
本研究は,平成30年7 月豪雨によって大きな被害を受けた愛媛県西予市で実施した調査で得られた知見について述べる。西予市野村地区では,結果的に浸水した地域のうち,多くの住民が避難行動をとった。その実態を,実際の避難誘導を行った消防団に対するヒアリング調査ならびに,住民に対するアンケート調査から,実際の避難行動をとるうえで何が重要であったかを明らかにした。さらに,被災後の避難の意思決定構造を明らかにした。
その結果,避難行動をとるうえで,消防団員による避難の呼びかけが非常に重要であった。ただし,避難を呼びかけても避難行動をとらない人も一定程度存在した。次に,被災した人の,避難の行動意図に影響を及ぼしていたのは,規範と自己責任であった。