抄録
2018年7 月豪雨で複合的な災害(土砂災害と洪水災害)により被災した呉市天応地区を対象としてアンケート調査を実施し,被害状況や災害時の避難行動,避難行動を左右した要因の分析を行った。避難率は60%弱であり,夜間で避難が困難であった場合もあったが,災害リスクの認識不足などで判断を誤ってしまった場合も見受けられる。また,避難所であった天応中学校が被災しており避難所の指定において見直しが必要であることも明らかとなった。そして,土砂災害ハザードマップの確認は避難に結びついたとは言えなかった。よって,本地区の防災力を高めていくためには住民同士の交流を重視した平時からの地域活動の促進,ハザードマップの認知度向上,避難に結びつく防災活動の実施が求められる。