抄録
ライフラインの途絶時において残存する企業の生産能力は,ライフラインレジリエンスファクターと呼ばれ,経済影響評価の基礎的な指標となってきた。本指標は,ライフライン途絶に対する企業の生来的な耐性や適応能力を示しており,事業内容によっても異なる。本研究では,これまでの調査では十分に調査及び定量化されてこなかった道路機能低下に対するレジリエンスファクターを推計したものである。携帯電話の位置情報及び事業所アンケートを基に,平成30年7月豪における交通機能及び事業所の売上水準が回復する過程を推計し,これらの関係をモデル化したものである。モデル化の結果,交通機能が4 割程度に低下すると,事業所の売上水準が0まで低下することが示された。