抄録
本研究では,復興事業区域に自力再建する被災者について,行政が実施する復興事業を利用して自力再建する人には,類型Ⅰ:復興魅惑型,類型Ⅱ:高齢-健康不安型,類型Ⅲ:地域愛着型,類型Ⅳ:充実した人間関係という4 つのグループに分けることができることを明らかにした。また,類型Ⅰおよび類型Ⅲが復興事業区域に自力再建する被災者の約86%を占めている。類型Ⅰは,復興事業の進め方によっては,元々土地区画整理事業や防災集団移転促進事業が実施された地区に居住していたにも関わらず,こういった事業を利用せず別の地域で自力再建した層を取り込むことができることの可能性を示している。類型Ⅱは「こころとからだの健康」が,類型Ⅳでは「人とのつながりの豊かさ」が突出していた。