自然災害科学
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2021年7月熱海市土砂災害にともなう人的被害の特徴と過去の災害事例との比較
牛山 素行
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2024 年 43 巻 1 号 p. 29-45

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抄録
2021年7月3日に静岡県熱海市の逢初川で土石流が発生し,死者・行方不明者27人の人的被害が生じた。この被害は, 1箇所で発生した土砂災害による犠牲者数としては1982年以降で最大となった。同程度の犠牲者が生じた5つの土砂災害事例と比較したところ,逢初川の斜面勾配は他の事例と同程度で,流出土砂量も他の事例に比べ特に多くはなかった。逢初川では,他の事例に比べ急勾配が長く続いているところに家屋が密集していた。これが多くの人的被害を 発生させた要因として考えられる。一方逢初川では,倒壊した家屋数に対する犠牲者数は少なかった。この背景としては次のようなことが考えられる。1 )避難の呼びかけが始まっていたこと, 2 )昼間だったので人々が行動しやすかったこと, 3 )昼間だったので外出していた人もいたこと, 4 )人が住んでいない家屋が一定数あったこと。
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