自然災害科学
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令和6年能登半島地震特集 速報
令和6年能登半島地震に伴う土砂災害による人的被害について
牛山 素行
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2024 年 43 巻 2 号 p. 175-186

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抄録
令和6年(2024)能登半島地震にともなって発生した土砂移動現象により倒壊,埋没,流失,変形などの被害を受けた建物(ここでは倒壊等建物と呼ぶ)を空中写真から判読した。また,新聞,テレビ報道,様々な地理情報などの情報から,人的被害の発生状況を推定した。倒壊等建物は37箇所が判読され,これらのうち少なくとも5 箇所で26人が死亡または行方不明となったと推定された。倒壊等建物37箇所のうち34箇所が,土砂災害警戒区域など,ハザードマップで土砂災害の危険性が示されている場所に所在していた。人的被害が発生したと推定される倒壊等建物は,いずれも土砂災害警戒区域または土砂災害危険箇所の範囲内に所在していた。土砂災害警戒区域などは,基本的には大雨に起因する土砂災害を想定して指定されている。しかし,今回の調査結果からは,地震に起因する土砂災害についても,土砂災害警戒区域の情報が有益 である可能性が示唆される。
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© 2024 日本自然災害学会
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