自然災害科学
Online ISSN : 2434-1037
Print ISSN : 0286-6021
43 巻, 2 号
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巻頭言
令和6年能登半島地震特集 速報
  • 牛山 素行
    2024 年43 巻2 号 p. 175-186
    発行日: 2024/08/31
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー
    令和6年(2024)能登半島地震にともなって発生した土砂移動現象により倒壊,埋没,流失,変形などの被害を受けた建物(ここでは倒壊等建物と呼ぶ)を空中写真から判読した。また,新聞,テレビ報道,様々な地理情報などの情報から,人的被害の発生状況を推定した。倒壊等建物は37箇所が判読され,これらのうち少なくとも5 箇所で26人が死亡または行方不明となったと推定された。倒壊等建物37箇所のうち34箇所が,土砂災害警戒区域など,ハザードマップで土砂災害の危険性が示されている場所に所在していた。人的被害が発生したと推定される倒壊等建物は,いずれも土砂災害警戒区域または土砂災害危険箇所の範囲内に所在していた。土砂災害警戒区域などは,基本的には大雨に起因する土砂災害を想定して指定されている。しかし,今回の調査結果からは,地震に起因する土砂災害についても,土砂災害警戒区域の情報が有益 である可能性が示唆される。
  • 牛山 素行, 杉村 晃一, 横幕 早季
    2024 年43 巻2 号 p. 187-206
    発行日: 2024/08/31
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー
    令和6 年(2024)能登半島地震で発生した津波による流失・倒壊家屋を,航空写真や現地調査から判読した。また,新聞・テレビ報道,各種地理情報,現地調査をもとに,今回の地震による死者・行方不明者の発生状況について推定した。最も被害が大きかったのは珠洲市宝立町で,津波により流失したと思われる家屋17箇所が判読された。なお,この地区では地震の揺れによると思われる倒壊家屋167箇所が判読されており,津波による家屋被害は地震による家屋被害に比べれば限定的だった。津波浸水域内で被災したとみられる死者数は25人程度と推定された。このうち,主に津波によって生じたとみられる死者数は約5 人と推定され,そのほとんどは珠洲市宝立町で発生した。この地区の津波浸水域人口に対する死者数の割合は0.38%と推定された。この比率は,東日本大震災で同程度の津波に襲われた地区とほぼ同程度である。
報告
論文
  • 西川 隼人, 野口 竜也, 池本 敏和, 宮島 昌克
    2024 年43 巻2 号 p. 253-271
    発行日: 2024/08/31
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー
    本論文では,正確な平均S 波速度構造が不明な地点でも震度増分を精度良く評価するために,微動H/V の1 次ピークのパラメータを用いた震度増分評価式を提案した。まず,著者らが提案した地震動スペクトルと震度増分の関係式を簡略化した近似式を導出するとともに,様々な地震規模や擬似サイト増幅特性に対して震度増分の精算値と近似値を計算し,両者の対応が良いことを明らかにした。また,本研究で対象とする地震観測点については,サイト増幅特性の1次ピークのみ考慮すれば,震度増分をある程度評価できることを示した。次に中国地方などの地震観測点を対象に,サイト増幅特性の1 次ピーク振動数とピーク振幅をパラメータとする経験的な震度増分評価式を求め,精度良く震度増分を評価できることを示した。最後に微動H/Vの1 次ピーク振動数とピーク振幅をパラメータとする経験的な震度増分評価式を求めたところ,サイト増幅特性を用いた場合に比べて,予測精度が低くなったものの,良好な精度で震度増分を評価することができた。
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