抄録
令和6 年(2024)能登半島地震で発生した津波による流失・倒壊家屋を,航空写真や現地調査から判読した。また,新聞・テレビ報道,各種地理情報,現地調査をもとに,今回の地震による死者・行方不明者の発生状況について推定した。最も被害が大きかったのは珠洲市宝立町で,津波により流失したと思われる家屋17箇所が判読された。なお,この地区では地震の揺れによると思われる倒壊家屋167箇所が判読されており,津波による家屋被害は地震による家屋被害に比べれば限定的だった。津波浸水域内で被災したとみられる死者数は25人程度と推定された。このうち,主に津波によって生じたとみられる死者数は約5 人と推定され,そのほとんどは珠洲市宝立町で発生した。この地区の津波浸水域人口に対する死者数の割合は0.38%と推定された。この比率は,東日本大震災で同程度の津波に襲われた地区とほぼ同程度である。