自然災害科学
Online ISSN : 2434-1037
Print ISSN : 0286-6021
論文
仙台市「杜の都防災力向上マンション」の認定データに基づく防災力特性の評価
酒井 悠里佐藤 健
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 43 巻 3 号 p. 401-414

詳細
抄録
仙台市では東日本大震災時のマンションへの対応の教訓から,分譲マンションの防災力向上を目的に,「杜の都防災力向上マンション認定制度」を開始した。本研究では,本制度の有用性や限界を示すために,認定マンションの防災力の特性を,著者が設けた3つの観点,活動主体,自治会の形成,免震構造の採否から明らかにする。そして, 3つの観点を場合の数から8つに分類し,防災力を比較分析した。その結果,最も防災力が高いのは,活動主体が管理組合または自治会,単位自治会があり,免震構造のものであることを明らかにした。さらに,クラスター分析を通して,クラスタ6 は非免震構造の割合が高いにもかかわらず,防災力が防災性能と防災活動ともに最も高かった。本制度は,申請方法や認定方法,評価項目の特徴から,他の自治体のロールモデルとなる可能性が高い。しかし,認定マンションを丁寧に分析した結果,その特徴を活かしきれていない現状も確認できた。
著者関連情報
© 2024 日本自然災害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top