抄録
【目的】下垂体腺腫に対する経蝶形骨洞手術(transsphenoidal surgery: TSS)後に稀に認められる内頸動脈の仮性動脈瘤に対し,ステントを併用したコイル塞栓術を施行し良好な結果を得たので報告する.【症例】68歳男性.再発性の下垂体腺腫による両耳側半盲を認めた.脳血管造影検査では右海綿静脈洞部内頸動脈に12年前のTSSが原因と考えられる仮性動脈瘤を認めた.再度のTSSに先立ちステントを併用したコイル塞栓術を施行し,動脈瘤を完全に閉塞した.その後TSSを施行した.【結論】内頸動脈閉塞の耐性が無い仮性動脈瘤に対して,ステントを併用したコイル塞栓術は考慮される治療法の一つと考えられる.