抄録
【目的】海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(CS dAVF)に対する血管内治療は,コイルを用いた経静脈的塞栓術が第一選択の治療法とされているが,coil packingで完全閉塞が得られないことがある.このような症例に,nbutyl cyanoacrylate(nBCA)を用いた経静脈的塞栓術を行った3例を報告し,手技上の工夫,留意点,有効性について検討した.【方法】全例,下錐体静脈洞経由で塞栓術を行った.1例はnBCA単独で,2例はコイル塞栓術後の再発や不完全閉塞に対しnBCAを注入した.【結果】3例中2例で完全閉塞が得られ,1例でシャントが残存したが頭蓋内静脈への逆流は消失した.手技に伴う合併症はなかった.【結論】コイルを用いた経静脈的塞栓術で根治しにくいCS dAVFや再発例に対し,nBCAを用いた経静脈的塞栓術は有用な治療法になりうる.