2022 年 59 巻 2 号 p. 188-191
ステロイド使用による高眼圧症の治療にはβ受容体遮断点眼薬が使用されるが,副作用に低血糖があることはあまり知られていない.ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)の治療として長期間ステロイドを使用し高眼圧症を発症したため,カルテオロール塩酸塩点眼液で加療していた1歳女児が,感染性胃腸炎に罹患した際,意識障害,けいれんを伴う重症低血糖を併発した.
低血糖の重症化の原因としてβ受容体遮断点眼液が一要因と考えられた.β受容体遮断薬は受容体遮断という薬物学的特性から受容体結合占有率が高く,血漿中薬物濃度にかかわらず副作用発現につながり易いため,点眼液のわずかな投与量であっても注意が必要である.