2010 年 4 巻 3 号 p. 151-156
【目的】治療困難な破裂内頚動脈瘤に対して部分塞栓術を行い,流速低下部位に一致した瘤内血栓化を認めた症例を報告する.【症例】軽症のくも膜下出血で来院した91歳女性.広頚かつ大型(22mm)の右内頚動脈瘤を認め,保存的に治療したが1ヵ月後に再出血した(WFNS GradeII).再出血当日の部分塞栓術直後は瘤全体が造影されたが,2週間後の血管撮影でブレブを含む動脈瘤先端部の血栓化を認めた.同部位は治療前の画像を元にコンピューターシミュレーションで可視化された流速低下部位に一致していた.【結論】塞栓術がdome fillingで終了した場合であっても,脳動脈瘤内の流速低下部位に血栓化が起こりやすいことが示唆された.