2011 年 5 巻 2 号 p. 118-125
【目的】内頚動脈閉塞による急性期脳梗塞に対し頚動脈ステントとretrieval systemを併用して良好な転帰を得た一例を報告する.【症例】70歳男性.睡眠時発症の左片麻痺と半側空間無視を主訴に当院に搬送された.頚動脈エコー検査と脳血管撮影の所見から,右内頚動脈起始部高度狭窄に由来する動脈原性塞栓により内頚動脈閉塞に至った脳梗塞と診断し,まず内頚動脈にステントを留置し,続いて遠位の血栓をMerciで回収することにより再開通を得た.症状は著明に改善しmRS 0で退院した.【結論】急性内頚動脈閉塞に対する血行再建術において,迅速で的確な病態診断と,病態に応じたデバイス選択を検討する必要性が示唆された.