抄録
【目的】内科治療抵抗性のmicroembolic signal(MES)陽性頚部内頚動脈(internal carotid artery;ICA)狭窄症に対して頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)を施行し,MES消失と脳梗塞再発防止に貢献した症例を報告する.【症例】65歳男性.一過性右不全片麻痺を主訴に受診した.左中大脳動脈領域の多発梗塞と左頚部ICAの中等度狭窄を認めた.抗血小板療法開始後も梗塞巣が増加し,経頭蓋ドップラー(transcranial Doppler;TCD)で患側中大脳動脈において30分間に5個のMESが検出された.内科治療抵抗性に塞栓症を繰り返す左頚部ICA狭窄と判断し,Carotid Wallstentを用いてCASを施行した.術5日後のTCDではMESは検出されなかった.【結論】CASにより動脈原性塞栓症を阻止することができた.治療効果判定にTCDが有用であった.